お金と幸せの関係性とは?幸福度の高い年収はどのくらいなのか

お金があれば幸せになれると考えている人も多いのではないでしょうか。一見幸せになれるようにも見えますが、お金があればあるほど良いという訳でもありません。

本記事では、お金と幸せの関係性とは何か、幸福度の高い年収はどのくらいなのかについてご紹介していきます。

お金と幸せの関係性について

お金と幸せの関係性を考えていく上で大切なのが、「お金を稼ぎたいと考えるのは何らかの幸せのため」であることが多いということです。このことから、お金は目的ではなく、何かの目的を達成するためにお金が手段として必要であるということがわかります。

年収が高くなったからといって幸せとは感じないという方もいらっしゃるかと思いますが、それはお金が目的ではないからであると言えるでしょう。お金を手にしても幸福感が満たされないということは理解できるかと思いますが、とは言えある程度のお金は必要です。

美味しいものを食べるためにも、素敵な生活を送るための家を買う、借りるためにも、お金は必要です。そのため、ある程度はお金を得ることで満足感が満たされるとも言えます。

一定の年収を超えたときから、年収が増えても幸せを感じ辛くなる傾向にあると言われていますが、一定の年収とはどのくらいなのか見ていきましょう。

幸福感が満たされるのは年収800万円まで?

ノーベル経済学賞を2015年に受賞したプリンストン大学のアンガス・ディートン教授らが年収と幸福度に関する調査を2008~2009年頃に実施し、800万円までは年収が上がるにつれて幸福度も上昇していることがわかったと発表しています。一方で800万円以上稼げるようになっても、これまでほどの幸福度の上昇幅は見込めません。

年収800万円を超え始めると、仕事に費やす時間がその分増えることが要因と考えられています。一定の年収を超えるためには、仕事に費やす時間を増やしたり、責任感の大きい職位に就いたりする必要があることが一般的です。努力や実績が認められて年収が増え、使えるお金が増えてきたとしても、お金を稼ぐための仕事で抱えるストレスが大きくなることから、幸福感がこれまでのように満たされづらくなると言うことでしょう。

日本でも年収と幸福度の調査が実施されている

先述したアンガス・ディートン教授らが実施した年収と幸福度の調査は日本でも行われています。内閣府の「満足度・生活の質に関する調査報告書 2022」の調査報告によると以下のような満足度の変化が見られます。

  • 「100万円以上300万円未満」4.37点
  • 「300万円以上500万円未満」4.88点
  • 「500万円以上700万円未満」5.40点
  • 「700万円以上1000万円未満」5.91点
  • 「1000万円以上2000万円未満」6.10点

300万円以上500万円未満から、約2倍となる700万円以上1000万円未満は1点以上の上昇幅と、幸福感が増加していることがわかります。同じように約2倍となる、700万円以上1000万円未満と1000万円以上2000万円未満では0.2点程度の上昇幅となり、先ほどの条件に比べて年収が増えることによる幸福感はあまり得られていないように見受けられます。

700万円以上1000万円未満までの推移は0.5点前後の上昇幅となっていますが、1000万円以上2000万円未満への上昇は0.2点程度と、やはり高収入による幸福感への影響が薄れています。

アンガス・ディートン教授らが実施した年収と幸福度の調査と同様に、おおよそ800万円以上から幸福度への影響が薄れているようにも見えます。アンガス・ディートン教授らが実施した研究はアメリカのものですが、日本においても似た結果になっていると言えるでしょう。

幸福度は総合的に判断されている

ここまでに幸福度と言う言葉を使用してきましたが、この幸福度とはどのように判断されているのでしょうか。幸福度は友人や家族、家計、健康などといった要素から総合的に判断されています。つまり、精神的なゆとりがあるのか、自由な時間はどのくらいあるのかといったことが、幸福度に関係していると言えるでしょう。

高年収になるための方法にもよりますが、年収が高くなるほど自由な時間というものは減るのではないでしょうか。友人や家族との時間が減ったり、健康に気を遣う時間も取れなくなったりすると、幸福度は低くなってしまうものです。

もちろん先ほど挙げた友人、家族、家計、健康といった各項目に対する重要度は年齢によっても変化します。10代から20代前半は友人の重要度が高いのに対して、20代後半からは家計や家族が高くなり、高齢になるにつれ健康の重要度が高まると言えるでしょう。

幸福度ランキングでの日本の位置付け

国連機関である持続可能開発ソリューションネットワーク(SDSN)が毎年発表している世界の幸福度ランキングでは、日本は決して高い順位とは言えません。2022年度の幸福度ランキングでは、1位フィンランド、2位デンマーク、3位アイスランド、4位スイス、5位オランダと上位5ヶ国はヨーロッパとなっており、アメリカは16位、台湾26位、日本は54位という結果です。

日本は2021年に56位、2020年は62位と、少しずつ上昇してきていますが、対象となっている約150ヶ国の中では真ん中より少し上あたりの幸福度となっています。意外と低いと感じる方も多いかと思いますが、どのようにして判断されているのでしょうか。

幸福感ランキングは一人当たり国内総生産(GDP)、社会保障制度などの社会的支援の充実、健康寿命、人生の選択における自由度、寄付活動をはじめとした他者への寛容さ、国への信頼度などから判断されています。上位の国々は社会保障などがしっかりとしてる北欧がランクインしやすい傾向にあると言えるでしょう。日本は寄付文化の薄いことや自由度の低さから現在のランキングに位置していると考えられます。

お金を稼ぐことだけが正解ではない

人それぞれの境遇によって人生の選択は異なるため、正解も人それぞれ異なると言えるでしょう。お金を稼ぐことも例外ではありません。もちろんお金があれば幸せにつながるかもしれませんが、お金を稼ぐこと自体を目的にしては幸福感は得られないと言えるでしょう。

自分にとっての幸せとは何か、そのための手段がお金であることを認識した上で人生の目標を立てることが重要です。お金は何かを得るための要素の一つとして考え、自分の人生設計を見つめ直して見ても良いかも知れません。

まとめ

本記事では、お金と幸せの関係性とは何か、幸福度の高い年収はどのくらいなのかについてご紹介してまいりました。「お金を稼ぎたいと考えるのは何らかの幸せのため」であることが多く、年収が高くなったからといって幸せとは感じないという方もいらっしゃいます。

一定の年収を超えたときから、年収が増えても幸せを感じ辛くなる傾向にあると言われており、アンガス・ディートン教授らがアメリカで実施した調査では、800万円以上稼げるようになっても、これまでほどの幸福度の上昇幅は見込めないとされ、日本においても似た結果になっていました。

以上のことから、お金を稼ぐことだけが正解ではないと言えるでしょう。お金を稼ぐことを目的にするのではなく、自分にとっての幸せとは何か、そのための手段であるお金がどのくらい必要なのかを考え、自分に合った目標を立てるようにしましょう。

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