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プロジェクト管理とは、決めごとを先に設計して、進めながら直していく仕事 のことです。ガントチャートやWBSといった手法の名前を指す言葉ではありません。
この記事は、ツールも手法も入れたのに、なぜか同じところでつまずくという人に向けて書いています。
結論から言うと、手法を増やしても失敗率はほとんど動かず、差がついていたのは別のところにあった からです。
目次
プロジェクト管理とは、期限のある仕事について、やること・順番・担当・判断の基準を先に決め、進めながら直していく仕事です。
ガントチャートやWBSは、その決めごとを見えるようにするための道具です。道具そのものが管理なのではありません。
ここを取り違えると、ツールを導入したのに現場は前と同じ、という状態になります。
手法は「決まっていること」を表示する道具なので、決まっていないことは表示できません。
線表は引けても、その線が何のために引かれているかは線表に書かれていません。だから優先順位を聞かれると、また会議が必要になります。
同じところでつまずくのは、道具の使い方ではなく、決めごとの側が空いているからでした。
プロジェクトマネジメント協会(PMI)が2025年に発表した調査があります。世界の実務者およそ3,000人と、25人の専門家への聞き取りにもとづくものです。
この調査が注目したのは手法ではなく、ビジネス感覚(事業の仕組み・数字・業界事情を理解して判断に使う力)でした。
そして、それを高い水準で持っている人は全体の18%にとどまっていました(66%は中程度)。
出典: PMI Pulse of the Profession 2025(Project Management Institute)
高い人のプロジェクト失敗率は8%、それ以外は11%でした。
差は3ポイントです。大きくないと感じるかもしれませんが、10件動かせば1件近く変わる差で、しかも手法の種類ではなく、担当者が何を見ているかだけで生まれています。
自分が担当した案件で事業目標を達成した割合は、83%と78%でした。
同じ傾向は組織全体でも出ていて、78%と72%。スケジュール遵守は63%と59%、予算遵守は73%と68%です。
どの指標でも同じ向きに差が出ていました。
スコープクリープ(作業範囲がじわじわ広がること)と、失敗したときの損失額には、統計的に意味のある差が出ませんでした。
これは正直に受け取るべき結果だと思います。事業を理解する力は万能ではありません。範囲が広がること自体は防げていない。
効いていたのは「起きたことにどう判断を返すか」の側でした。
手法の前に、判断の基準を持ちたい方へ
この調査が差をつけていたのは、道具の数ではなく、何のための案件かを理解して判断する力でした。株式会社アウェアネスは、人間関係・時間・お金を扱う力を「バランス教育」として体系化している人材育成の会社です。これまで延べ22万人以上に学びを提供してきました。
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プロジェクトで本当に難しいのは、作業を並べることではなく、割り込みが来たときに何を捨てるかの判断です。
その判断には、この案件が事業のどこに効くのかという理解が要ります。理解がないと、声の大きい要望から順に通ります。
ところが同じ調査では、経営層の54%が「チームにビジネス感覚を身につけさせる必要がある」と認めながら、実際に優先しているのは技術スキル(64%)とパワースキル(61%)のほうでした。
必要だと分かっているのに後回しになっている。だからこそ、ここは個人が先に手をつけると差がつきやすい場所です。
私たちが学んでいる考え方でも、人を動かそうとするより、判断できる状態をつくるほうが早いという話が繰り返し出てきます。
手法は「決めたことを見えるようにする」ための道具です。目的に合うものを1つか2つ選べば十分で、数を増やすこと自体に意味はありません。
作業を横棒で並べ、開始と終了、重なりを一目で見えるようにする図です。
期間と前後関係がはっきりしている仕事に向きます。逆に、やること自体が決まっていない段階では書けません。
中心のテーマから枝を伸ばして、関係する要素を広げていく図です。
洗い出しの段階に向きます。順番や期限を管理する道具ではないので、線表とは役割が違います。
各作業に持たせがちな余裕を一度はぎ取り、全体の最後にまとめて置く考え方です。
個々の余裕が使い切られて全体が遅れる、という状況に効きます。
やることを大きな塊から順に分解し、担当できる単位まで細かくしていく方法です。
抜け漏れを減らせます。分解の粒度がそろっていないと、見積もりがぶれます。
日本で体系化された、複数のプロジェクトをまとめて価値の観点から扱う枠組みです。
単発ではなく、事業として束ねて見るときに使われます。
作業の前後関係を図にして、どこが全体の期間を決めているか(クリティカルパス)を見つける方法です。
短縮できる場所を探すときに向きます。
道具を選ぶ前に、①何のための案件かを確認する ②測る指標を決める ③用語を翻訳する、の3つは今日から始められます。
着手のときに一度だけ、この案件が事業のどこに効くのかを言葉にします。
売上なのか、コストなのか、離脱率なのか。ここが決まっていると、割り込みが来たときに捨てるものを自分で決められます。
決まっていないと、毎回上に聞くことになります。
先に指標を決めると、必要な手法が自然に絞れます。
期日が命なら線表、抜け漏れが怖いならWBS、遅れの原因を探すならPERT。道具から入ると、この対応づけが逆になります。
なお調査では、事業を理解している人ほどperformance を測る観点を平均で3つ多く持っていました。
関係者は手法の名前では動きません。動くのは、自分に何が起きるかが分かったときです。
「クリティカルパスが逼迫しています」ではなく「この2つが遅れると、納品日が動きます」。
同じ内容でも、後者のほうが判断が早く返ってきます。
Q1. プロジェクト管理とは、簡単に言うと何ですか。
A1. 期限のある仕事について、やること・順番・担当・判断の基準を先に決め、進めながら直していく仕事です。ガントチャートやWBSは、それを見えるようにする道具であって、管理そのものではありません。
Q2. 手法はいくつ覚えるべきですか。
A2. 目的に合うものを1つか2つで足ります。PMIの2025年調査で失敗率に差をつけていたのは手法の種類ではなく、事業を理解して判断する力でした(失敗率8%と11%)。先に指標を決めると、必要な手法は自然に絞れます。
Q3. 経験が浅くても、今日からできることはありますか。
A3. 3つあります。①この案件が事業のどこに効くのかを言葉にする ②測る指標を先に決める ③専門用語を相手の言葉に翻訳する。 どれもツールの導入を待たずに始められます。
プロジェクト管理は、手法の名前を覚える仕事ではありませんでした。PMIが約3,000人に聞いた調査で失敗率に差をつけていたのは、事業を理解して判断に使う力のほうでした(8%と11%)。
そしてそれを高い水準で持っている人は、全体の18%にとどまっています。必要だと分かっていながら後回しになっている領域です。
株式会社アウェアネスは、人間関係・時間・お金を扱う力を「バランス教育」として体系化している人材育成の会社です。これまで延べ22万人以上に学びを提供してきました。
道具ではなく、判断の基準から整えたい方へ
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